舌が黒くなった！？

一番変化の分かりやすい舌の疾患は『黒毛舌』になります。

文字通り舌背と呼ばれる舌を出したときに一番みえる表面が黒くなる病気です。

 

舌背には細かな糸状乳頭と呼ばれる毛のような突起がたくさんあります。

舌のきれいな方ではきれいな赤からピンク色をしていますが、汚れが溜まりやすく白くなる方もいます。

 

しかし、今回のように黒くなる場合もあります。

黒くなる原因は実は口の中だけの問題ではありません。

 

黒毛舌は抗生剤の長期服用やステロイド剤の使用によって起こってきます。

 

お口の中も腸と同様に常在菌という微生物を数種類常に抱えています。

微生物は常にA菌が5割、B菌が3割、C菌が2割のように一定数いてバランスが取れています。

 

しかしながら、抗菌薬を長期投与されている場合にはこのバランスが大きくみだれてしまうのです。

例：A菌が1割、B菌が2割、C菌２割、D菌が5割

 

今で主役ではなかったD菌が出てきたり、A菌が大きく減少したりとバランスは大きく異なります。

そこでD菌にあたるのが微生物の真菌（カビ菌）の分類であるカンジダが今回増殖してきていることによって黒毛舌になります。

 

またステロイド製剤は免疫に関与するお薬で抗炎症作用があります。

こちらも長期的に使用すると、炎症自体が外敵に対して戦う機構ですので、微生物に対してあまり体が戦わなくなります。

カンジダは通常の免疫反応では体が勝つことが多いのですが、免疫反応が少なくなっているので、カンジダ菌が増殖しやすい環境になってしまっています。

 

全身性の感染症で抗生剤を長期に使用されている方は、黒毛舌になりやすいですので注意が必要です。

特に肺炎等の感染性疾患では抗菌薬もステロイドもどちらも使用することがありますので菌交代現象が起こりやすいです。

 

当院では歯だけではなく舌等のお口の中の疾患の診査診断も行っておりますので、是非一度当院でご相談ください。