歯周病は細菌による歯茎の炎症を伴いながら、歯を支える歯槽骨が溶けていく病気です。治療により、進行を食い止め、状態を改善することができます。
歯周病は、歯垢の中に含まれる細菌が引き起こす感染症です。はじめは歯垢の中の細菌が出す毒素によって歯肉が炎症をおこして腫れる歯肉炎になります。そのまま放置しておくと、歯を支える歯槽骨がやがて溶けてしまう歯周炎へと悪化します。これらを総称して歯周病といいます。
歯周病は痛みなどの自覚症状がなく進行するので、発見した時にはかなり進行していることもあるため、定期的な歯科検診が発見の鍵です。重度になると歯槽骨を溶かし、やがて歯が抜けてしまうか、治療として抜歯を余儀なくされる原因になります。
歯周病は大人がなる病気というイメージがあります。実際は歯肉炎は子供でもかかります。乳歯で6~7ヶ月頃、永久歯で6~7才頃の歯の生え始めの時期にブラッシングが不適切だと、溜まった歯垢が原因で萌出性歯肉炎にかかることがあります。また思春期には、ホルモンの分泌の変化によって炎症が助長され、思春期性歯肉炎を発症することもあります。このような場合も歯磨き指導や食事指導、生活習慣の見直し、クリーニング等を行います。
歯肉溝にプラークが溜まることで、細菌が毒素をだします。やがて炎症が起き、触れると出血することもあります。歯磨きによって、改善することが出来ます。
歯と歯ぐきの境目、歯肉溝の隙間が深くなり、歯周ポケットを形成します。ここから根の先に向かって進行していきます。
歯根膜や歯槽骨も歯の根の半分くらいまで破壊され、歯が動揺し始めます。噛んだときに痛みが出るようになります。
炎症が更に拡大し、歯槽骨は半分以上破壊され、歯はかなり動揺しています。歯肉が下がって歯の付け根が見え、長く見えます。
むし歯の治療の際に、う蝕部分を削り取るのと動揺、歯周病の治療でも歯垢と歯石の除去が基本的な治療方法です。歯石は歯ブラシでは取れないので、スケーラーという器具でそぎ取ります。何度かこれを繰り返すことで炎症が治まったり、歯周ポケットの深さが浅くなります。改善が見られたら、メインテナンスに移行します。
子どもの歯肉炎で、原因が歯並びによるブラッシングのしにくさにあるとき場合、矯正治療のご提案もさせていただくことがあります。歯並びが原因の歯肉炎はいずれまた、ブラッシング不足になると再発する可能性がありますので、矯正が効果的です。
歯周病が進行すると歯周組織まで破壊が進むため、歯周ポケットの深い部分に付着した歯石を除去する必要があります。そこでSRP(ルートプレーニング)という治療を行っていきます。ポケット内の歯垢・歯石を取り除き、生体にとって害のない状態にすることで症状は改善します。しかし、それだけではまた細菌が戻ってきてしまうため、適切なプラークコントロールの指導をし、炎症の再発を防ぎます。